挫折したあの本も、この本も、きっとこれを読めば秘伝的な技術が会得できるにちがないない! と思わしめるタイトルだ。何しろ『難解な本を読む技術』というのであるから。 しかし、そのような秘伝的テクニックが本書を読んでも得られるわけではない。 本書では、読書を「登山」にたとえている。その顰にならえば、渋谷に散歩にでもいくような恰好で冬の乗鞍に登山しようとしている人に、「もしもし。冬山に登るには、こういう装備とこういう基礎トレーニングが必要なんですよ」と教えるような本である。 著者=高田明典は、その冬山登山に必要な装備をいちいちあげていく。冬山ではどんな困難があるのかをいちいち挙げていくのだ。同時に、それに耐えるには、平地でまずこんなトレーニングが必要ですよとも教えてくれる。 それを読んで、渋谷に行くような恰好で冬の乗鞍に行こうとしていた人はびっくりするのだ。ああ、なんと私たちは軽率だったのだろう。