日本人の著書としては、明治25年刊行の田口茂一朗「美術応用解剖学」が最も古いもので、その後明治36年に東京美術学校で芸用解剖学を教えた森鴎外と久米桂一郎によって、「芸用解剖学」が出版されます。現在古書として手の届くのは、大正4年の中村不折「芸術解剖学」あたりからではないかと思います。内容は、リッシェの本の要約版といった感じで解説は良いのですが、図版が極めて簡素なもので実用的ではありません。 日本での代表的な美術解剖学者といえば、西田正秋(1901~1988)を上げることができます。「美術解剖学論考」は、「人体とは? 美術解剖学とは何か?」を考えるには読んでおきたい本です。