社会格差が広がる米国で、退職者の憂鬱が広がっている。米国は今でも国内総生産(GDP)では世界一を誇り、経済大国という代名詞がつけられているが、近年、高齢者の貧困が広まっている。 それでは貧困というのはどのレベルのことを指すのか。連邦政府が定義する米国の貧困層(2013年)は、1人住まいの場合、年収が1万1490ドル(約114万円)以下、4人家族の場合は2万3550ドル(約235万円)以下を言う。 今や高齢者の6人に1人は貧困層 米統計局によると、65歳以上の貧困層はすでに16%、約6人に1人の割合である。一昔前、米国ではいかに早く退職するかがステータスの1つであった。巨額の資産を築いて40代でリタイアし、あとは好きなことをして人生を謳歌するライフスタイルが尊ばれた。言わば「大橋巨泉的な生き方」である。 だが現実は、かなり限定された一部の富裕層だけに許される生き方であり、大多数の市民は退職年