一昨年、1型糖尿病に苦しむ大阪府在住の主婦の障害基礎年金が突如、打ち切られた。重病人の命綱を断つような仕打ちはなぜ行われたのか。これは他人事(ひとごと)ではなさそうだ。「自己責任」の名の下になされる「弱者切り捨て」の実態に、硬骨のジャーナリストが迫る。 「何でやのん。これから、どうやって生きていったらいいのよ」 大阪府岸和田市の主婦・滝谷香(たきたにかおり)さん(35)はしばし呆然(ぼうぜん)とし、我に返った… この記事は有料記事です。 残り4771文字(全文4977文字)
NHKスペシャルなどで老人漂流、老後破産が話題になっている。 高齢者の貧困問題だ。 生活保護基準以下で暮らす高齢者が大勢いらっしゃることが明らかになっている。 わたしの所属するNPO法人ほっとプラスには、生活困窮状態にある人々からの相談が日常的に寄せられている。 当然、65歳以上の高齢者からの相談も多く寄せられる。 この背景にあるのは、年金支給水準の低さや無年金、預貯金の枯渇、医療や介護負担の重荷などさまざまである。 高齢者は、基本的に働くことは難しい場合がほとんどである。 そのため、収入はこれまでの預貯金や年金、仕送りなどに頼らなければ生活ができない。 生活保護受給世帯の45,2%が高齢者世帯である(平成25年7月:厚生労働省・被保護者調査)ことからも理解できるように、高齢期は貧困のリスクが高まる。 そのような高齢者の貧困を防ぐために、先進諸国の社会保障制度は整備されてきた。 だから、社
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