→紀伊國屋書店で購入 「理想の授業」 何とまあ、いい感じに地味なタイトルだろう。こういう本はぜったいにおもしろいはず!と期待感とともに手に取ったが、予想以上に興奮した。「理想の授業」を受けたような気分である。若い頃にこんな授業を受けていたら人生変わっていたかもしれない。 著者は一九六〇年生まれだから、まさにニューアカ世代。元々の専門が文化人類学というのも時代を感じる。バブルだの軽薄だのと批判を浴びることも多い年代かもしれないが、こういう頭の使い方ができる人がいるのが強みだ。言語学的なソリッドな考え方をベースにしつつも、哲学、論理学、数学、社会学、人類学といった領域にも上手に浮気をして飛躍の助けにする、そのバランス感覚がたいへん魅力的なのである。文学的な鋭敏さも備えている。文章は不必要な深刻さや晦渋さとは無縁で、ごく透明。控えめに使われる比喩も効いている。 そもそも「理想の授業」とはいったい