ゼロ年代のベスト・リストが大変なご好評をいただいた。 では、一方で、テン年代はどうなのだろう。ゼロ年代に決定的に進行した状況の細分化や興味の拡散がきれいに収束した、などという話は聞いたことがない。われわれの日常生活や、あるいは身体性にまで深く食い込むようになったかに見えるソーシャルメディアの普及は、細分化や分散をむしろ固定化しているのではないか。初めてツイッターにログインした時の「何かが変わるのかもしれない」という青臭いトキメキのようなものが今や懐かしい。にも関わらず、以下のリストを眺めてもらえば分かるように、少なくとも映画においては、「中心」のようなものが存在しているようにも思える。 しかし、これが本当に「中心」なのかは大いに疑わしい。ソーシャルメディア的な集合知の存在が、ある種のポピュリズムとして機能し、各メディアの方向性をどこかで決定づけているのでは、という気がしないでもないからだ(