ケインズとハイエク―「自由」の変容 (中公新書) 作者: 間宮陽介出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1989/01メディア: 新書 クリック: 9回この商品を含むブログ (3件) を見る第1章 喪われた世界 功利主義者は、「善い」を快によって定義するのに対し、ムア倫理学では、功利主義の前提とする「善い」の定義可能性を否定。「善い」は、直覚に拠って、直示することに拠ってしかその内容は分からず、「...である」という形では定義できない。ムア倫理学では、「善い」をある有機的統一を成している全体である、とみるが他方で、理想を最大最高の善とし、その不可欠の要素として、人間の交わりと美的享受を挙げる。 ハイエク感覚論の特徴は、感覚を外部世界の刺激が与えた感覚器官への刻印とはみず、それが神経系により識別分別され、別の秩序に変換されたものとみる点。カントは、世界を人間精神の構成物とし、世界を構成する