■両親の教え 子供の頃、父親に、『理屈を言うな!』と怒られたことが何度かある。ずっと忘れていたのだが、最近になってふと思い出して以来、気になってしかたがない。今でもこんな怒り方、しかり方をする人はいるのだろうか。私の父親世代だけではなく、私が学生時代には少なくとも大学の体育会系のサークルではこの種の物言いは少なくなかったと記憶するが、最近ではどうなんだろう。かたや母親は、『議論で相手を論破するようなことは決してやってはいけない』と何度も私を諭したことを覚えている。理屈で勝っても、こちらが正しければ正しいほど相手に遺恨が残る。そんなやり方では相手は納得して自分の理屈に従ってくれるようにはならないというのだ。 ■刷り込まれる日本の常識 まがりなりにも学校では科学を学び、近代社会のルールに則った議論やそれに基づく民主主義についても学んでいる最中だった。日本でも個人と個人がどんどん意見を戦わせて、