世間では定年と言われる年齢をゆうに過ぎても元気に仕事を続けている食のプロたちを、全国に追うシリーズ「生涯現役」。超高齢社会を豊かに生きるためのヒントを探ります。 金本兼次郎(かねもと・けんじろう) 御歳90歳 1928年(昭和3年)1月1日生まれ 「野田岩 麻布飯倉本店」 12歳で店の手伝いを始め、20歳前後から鰻を焼き始める。1957年、5代目として店を継ぐ。下北沢、銀座、日本橋、さらにパリへと多店舗展開を進め、ワインやキャビアとの食べ合わせなど、新しい試みを実現。2007年、厚生労働省の「卓越した技能者(現代の名工)」に認定される。 8人兄弟の長男なもので、小さい頃から「五代目」と呼ばれて育ってきました。生まれも育ちも、ここ麻布飯倉です。12歳から店を手伝い始め、下働きを経て、鰻を焼くようになったのが20歳前後。以来、かれこれ70年間、鰻を焼き続けてきました。 鰻は、身のふっくら感と焼