中学時代から冴えていた「ニーズをとらえる嗅覚」 婦人服製造販売会社を経営していた父親 のもと、裕福な環境で育った木村だが、彼の幼・少年期は、病気との長い闘いだった。小児マヒを患ったことで、3歳の頃から右足が動かなくなったのである。 運動するにも何をするにも、ハンデがつきまとい、周囲の子供とは、全く違う生活を余儀なくされた。 「こういう苦労をすると、どこかで心が歪みますね。何かに傷つけば、親に対して『産まんとかったらええのに』と恨むわけです。さぁ遠足となれば、雨が降ったらいいのに…とか。子供心に人の不幸を喜ぶ、人格形成においては決して良くない話ですよ」 ところが、小学生の時に、ある友人との出会いを通じて、自分の心に「甘え」が宿っていると気づいた木村は、一念発起して猛烈なリハビリに取り組むようになる。 そのリハビリとは、新聞配達。小学校を卒業するまでには、自分の右足で体重を支えられるようになる