日本でもようやくワクチンの接種が始まりそうだ。菅義偉首相は2月2日、2月中旬から医療従事者400万人へのワクチン接種を開始、4月からは高齢者への接種を開始する見通しを明らかにした。しかし、不思議でならないことがある。国と社会の安全を担っている人々への接種が最優先されていないことだ。 確かに、最初に接種される医療従事者の中に、患者を搬送する救急隊員、患者と直接に接する保健所職員などが含まれてはいる。だが、直接的なコロナ対応しか考えなかった結果、ほかの医療に深刻な影響が及んでいる日本の現状を象徴したような、視野の狭い、戦略性に欠ける取り組みと言わざるを得ない。 エッセンシャルワーカーを最優先 本稿では、コロナ以外の医療体制の維持が重要であるように、電力、電話、エネルギー、水、交通など重要インフラを担う人たち、食料の生産販売と流通を担う人たち、清掃業務の担当者など、いわゆるエッセンシャルワーカー