林芙美子の愛に共鳴 桐野夏生さん、長編小説2010年4月1日桐野夏生さん=鈴木好之撮影 作家の桐野夏生さんが、林芙美子の戦場での愛を描いた長編小説『ナニカアル』(新潮社)を刊行した。芙美子が占領地に派遣される状況などは史実に基づく「モデル小説」の形だが、恋愛の部分には大胆に創作を織り込むなど、虚実を複層的に折り重ねた作品だ。作者と芙美子の共鳴が生み出した物語になっている。 作家・林芙美子(1903〜51年)は、貧困を強く生き抜く自伝的小説『放浪記』の作者として名を残す。だが、同時代の作家・円地文子から人格にかかわるような酷評を受けたり、戦争協力者と批判されたりと、人物評には厳しいものが多い。 「なぜ悪評ばかりが残ったのか。本当にそうなのか」という疑問が桐野さんの創作の出発点だった。 作品の舞台には、シンガポールやジャワ、ボルネオを選んだ。太平洋戦争下、42〜43年の時代設定だ。同時期の南方
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