今日はある友人Tの話をしよう。 Tは、とあるメーカー系大企業で携帯電話のファームウエアを開発している。 私とTは同期入社だった。入社後最初の配属先が同じだった。当時、まだ携帯電話なんてものは無く、ある通信機器ファームウエアの開発部署だった。一緒にコーディングをし、一緒にデバッグをした。まだ新人で、右も左も判らない中で切磋琢磨しあい、二人とも急激にスキルを伸ばした。 Tは素晴らしいライバルだった。本当に「優秀」な男だった。数年後には、完全にファームウエアに精通した「プロフェッショナル」になっていた。インサーキットエミュレータでOSの中まで追いかけた。原因不明のバグも、タスクのディスパッチタイミングがわずかに狂っていた事を看破して解決してみせた。 やがて私とTは別々のプロジェクトに転属され、お互いプロジェクトリーダーになった。 このテの業務はどんなプロジェクトでも程度の差こそあれ、過酷だ。月の