内田春菊の『ファンダメンタル』ってゆー、短編集がありまして、一つの一つの話はとても短いのですが、これがなかなか「ずん」とくる話が多めに含まれている短編集なんですね。 私がその中でも特に気に入っている話の一つに、『サボテンは強くない』というのがあります。 かつてコイビト同士であった二人の男女が喫茶店でひさしぶりに会います。 付き合っている間、あなたは私に対してかなりつらく当たった。私はあなたがすごく好きだったから我慢したけど、嫌われているのかなと思って悲しかった。でもそういえば確かにあなたに面と向かって嫌いだと言われたこともあったんだから、しょうがないわね。そんなことを語ってから女性は、 「だからあなたから連絡があってびっくりしたのよ。こっちとしては結婚しますって知らせて、それだけのつもりだったから」 と既に過去を過去と割り切った表情で言います。 すると男性は、きまりわるげにもじもじしながら