ハツミさんが救急搬送された都内の総合病院。医師は診察を拒否した 東京電力福島第一原発事故で施設からの避難を強いられたお年寄りは、県内外の病院や施設などで次々に命を落としていった。1月までにその数は520人に及ぶ。避難先を転々とする中、体調を悪化させ死期を早めた。東京の病院で被ばくを疑われ、一時は診察を拒否された高齢者もいる。不条理な差別を受け、故郷の地を踏めないまま逝った。遺族の嘆きは深い。ついのすみかを追われた災害弱者の「原発事故関連死」を追う。 病室の母は、体にたくさんの管を付けられ力なく呼吸するばかりだった。心肺停止で埼玉県行田市の総合病院に救急搬送されたと聞いて駆け付けた時、既に意識はなかった。 「これでお別れになるのかな。双葉に帰れなくてごめんね」。東京都練馬区の篠美恵子さん(65)は、母・山本ハツミさんの手をそっと握った。 翌日の平成23年11月3日。親族らが見舞った後、ハツミ
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