アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229)) 作者: フィリップ・K・ディック,カバーデザイン:土井宏明(ポジトロン),浅倉久志出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1977/03/01メディア: 文庫購入: 70人 クリック: 769回この商品を含むブログ (422件) を見る フィクションは、嘘を通じて世の中の真実を浮き彫りにする。そして嘘が大きければ大きいほど――荒唐無稽な物語であるほど、そこに描かれる真実も重大で本質的なものになる。 その点、フィリップ・K・ディックは天才的だ。彼以前のあらゆるSF的なガジェットを利用しながら、自身の思想や価値観を物語へと昇華している。これは私見だが、ディックはSFをあくまでも表現技法のひとつとして――いわば「道具」として位置付けているような印象を受ける。作家的な感性や科学的な見地から「世界」を分析し、そこから得られた「解析