山本七平は、心底戦争がいやだった。そして戦争の実態を自身の経験から執拗に書いた。戦争はこりごりだ、どうしてこんな愚かなことになったのか、というのとそれを具現化した現人神を命を削って追った。左翼は現人神を目に見える昭和天皇や天皇制だと見ている。しかし、柄谷行人ですら、日本的自然性というように、昭和天皇や具体的な天皇制が問題の根幹にあるわけでもない(ただ、それを否定しつくすことには日本の階級・官僚構造を壊す意義はあるにはある)。 日本に戦争なんかできるわけがない。あれだけひどい惨事をやって学べよというのが山本の本心といえば本心だった。だが、それが、ネットとか見ているあまり通じているふうはないというか表向きなところからはあまり見えない。 ただ、山本は、日本国憲法も偽物だと見ていたようではある。 私は、この点では、吉本隆明に近い。憲法っていうのは、あれだけ酷い戦争をやって唯一日本人が得た宝だよとい