【法廷から】 犯行現場から逃走する父親の背中は、中学3年生の目にどう映ったのだろうか。信号無視を注意されたことに腹を立て、高齢者を殴り死亡させたとして、傷害致死罪に問われた男性被告(49)の裁判員裁判。息子の前で人ひとりの命を奪った男の素顔が、法廷で明らかにされた。(時吉達也) 起訴状などによると、被告は昨年11月、東京・品川のJR大井町駅前の横断歩道で、対面で信号待ちをしていた男性=当時(77)=から信号無視を注意されたことに激高。男性の顔を殴り、その場を立ち去った。男性は衝撃で路上に後頭部を打ち、翌12月に死亡。被告は今月24日に東京地裁で開かれた初公判で、起訴内容を認めた。 突発的なたった1度の殴打が相手の命を奪う結果になった事件。しかし、検察側の冒頭陳述と証拠調べでは犯行の悪質性が浮かび上がった。 柔道整復師として整体の仕事をする被告は犯行当日が非番で、2人暮らしをしている次男と外