Tyler Cowenの本が良い本であるということは以前のエントリで紹介したが、その本の中でも一番心に残るのは"Me Factor"という言葉である。 Tyler Cowenによると、経済学は「希少性」の分配を考える学問といっても間違いはないそうだが、特に高度に発達した先進国において一番稀少なものは何かというと、それは各個人の持つ興味であり、その興味があることに費やす時間であるといえるそうだ。つまり自分の興味とそれに掛ける時間こそが一番の稀少リソースであり、それこそが価値判断を行い、意思決定を下すときの一番のクライテリオンになるのだ。そしてそのクライテリオンを"Me Factor"という言葉で表現する。Me Factorにより鑑賞するべきファインアート、読むべき本、そして聴くべき音楽を選別することが、先進国において経済合理的に振る舞う個人の行為であるとするのだ。 ただ、"Me Factor