「声に出して読みたい日本語」などのベストセラーを連発した出版社の草思社(東京都文京区、木谷東男社長)が、民事再生法の適用を申請した。「不況に強い」と言われた出版業界の神話が崩壊しつつある。(文化部 鷲見一郎) 「あの草思社がなぜ」 出版業界に詳しい出版ニュース社の清田義昭代表は、中堅出版社ながら、斬新な切り口で数々のベストセラーを出した同社の経営破たんに衝撃を受けた。年明け早々の出来事に「業界の問題として人ごとではない」と警鐘を鳴らす。 民事再生法の適用申請時には、負債総額22億円、うち有利子負債が19億円。回転資金を確保するため、借金を重ねた末の決断だった。 同社は1961年、現会長の加瀬昌男氏が設立。人文・社会科学系の書籍を出版。「他人をほめる人、けなす人」など絶妙なタイトル・ネーミングで読者の目を引くなど、業界でも一目置かれていた。 最盛期の97年10月期に約39億円の売り上げを計上