生々しい愛憎や性、殺人などの描写は、小説や漫画なら大胆に描けても、実写になったとき、薄味なこともある。が、この映画は、濃度を保っている。主人公の花役の二階堂ふみと、花と愛情を交わす淳悟役の浅野忠信が色っぽい。ドロリと熱っぽい空気感を撮った監督は、『海炭市叙景』『夏の終り』などの熊切和嘉。ふたりの感情を、映像ならではのダイナミズムで描き出す。これを原作者はどう受け取ったのだろう。 桜庭一樹に聞いた。 ───映画を見て、いかがでしたか? 桜庭 小説から映画やアニメやラジオドラマ化するとき、テーマを生かすためには構成を変えなくてはいけないといつも思うんです。私は、小説の主人公の女の子・花を、不思議な価値観をもっているにも関わらず、読んだ人が、自分の事のように感じたり共感したりできるように書いたのですが、映画の場合は、花(二階堂ふみ)と淳悟(浅野忠信)のことを俯瞰で見て、現象としてふたりがいるとい
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