本研究の目的は,大学の研究成果として生じた知的財産権が,文部科学省文書に述べられているように,「自ら事業をせず他の事業者に対し法外な対価を要求して権利行使することを専ら業とする者等」によって利用されることを防止するため,大学がとりうる対応を明らかにすることである. 2011年に公表された米国連邦取引委員会(FTC)のレポートを中心とする文献調査に基づき,PAEと略称される,係る活動を行う者等の概念と活動内容,公益上の問題について検討した.その整理を受けて,主として知的財産管理上そして技術移転契約上の観点から,この問題に対し有効と考えられる具体的な対策について提言する.