庵野秀明は、2006年、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の制作発表にあたり、極めて挑発的な所信表明を行なった。「この12年間エヴァより新しいアニメはありませんでした」*1。この表明が意味していることとは、『エヴァ』を更新するアニメは『エヴァ』それ自体でしかありえず、「ポスト・エヴァンゲリオン」などというものは存在しない、ということだろう。ここには、アニメの現状に対する庵野秀明の認識が明確に示されていると言える。つまり、『エヴァ』以降も、非常に多くのアニメ作品が作られ、その中には斬新な試みを行なった傑作もあっただろうが、真の意味で新しいアニメ作品はなかったのである、と(もちろん、それではアニメにおける新しさとは何なのか、ということを次に問う必要があるだろうが)。 山本寛(ヤマカン)は、これと似たような声明を、『フラクタル』の制作発表にあたって公表したが、ヤマカンの声明は、庵野秀明の大胆不敵な声明