小野さんは、しばしば遺跡から出た魚の骨を同定する専門家とみられることがある。 自身の研究史の初期にもボルネオ島の遺跡の発掘調査で骨を見る仕事をしている。 「ブキットテンコラックという遺跡で、3500年くらい前のものです。新石器時代、第2の波が来た時期ですが、ここは外洋性の魚が少ないところでした」 前回ふれた東ティモールのジェリマライ遺跡は、4万2000年前のものなのに、マグロなどの外洋性の魚を捕っていた。では、こちらでは、時代が新しくなっているのに外洋性の魚を捕らないのはなぜだろう、というのが素朴な疑問。 「実際行ってみるとわかるんですけど、周り数キロぐらい全部サンゴ礁の非常に大きなリーフが広がってるんですよ。逆に外洋まで行こうとしたら、多分数キロ、その浅いリーフをえっちらおっちら行かないとたどり着けなくて、あえてそこまでしてリスクの高い外洋性の魚を捕るよりも、近場で沿岸の魚を捕ってたほう