信号の待ち時間は人生のロスタイム | Telescope Inc.一日中渋滞みたいなもんなのに懲りずに行き交う車、何かに急かされているように先を急ぐサラリーマン、得体の知れないアンケートを取ろうとしてくるババア。 夜になれば道端で酒に酔いつぶれた大学生、ここぞとばかりに輝きだすネオン、風俗に勧誘してくるババア。 飽きもせずにこの街は忙しく、汚く、昼夜を問わず闇を感じさせる。 日本のどこよりも人が溢れているはずなのに日本のどこよりも人間味を感じない。 ここは東京、渋谷区道玄坂。 JR渋谷駅ハチ公口を出て、スクランブル交差点を109（Mensじゃない方）の方向に渡り、109の建物が角に立つ分かれ道を左に入ったところが、道玄坂である。 「信号の待ち時間は人生のロスタイム」と訳の分からないことを言いながら、車行き交う道玄坂の信号のないところを「あり得ねえだろ…」っていうタイミングで渡る男がいる。 俺である。 私は道玄坂を歩く人々の中で、道玄坂の信号のないところを
