性格と精神疾患は共通の遺伝基盤をもつ 私たちは俗に「個性」や「性格」といわれる、個体間で異なりつつ、個体内では一貫した行動特性を持って生きています。心理学の分野において、人間の性格は、協調性、誠実性、外向性、開放性、神経症傾向という5つの因子で構成され、文化や民族をこえて共通にみられることが指摘されています。また、遺伝学の分野では、近年の大規模ゲノム解析の進展とともに、上述の性格の5因子に影響を与える遺伝子や遺伝的変異が特定され、性格の遺伝学的基盤に注目が集まっています。一方で、これらの研究のひとつの発見は、「性格と精神疾患は共通の遺伝基盤をもつ」ということでした。すなわち、精神疾患に関連する遺伝子は、同時に性格の違いにも影響しており、精神疾患と性格のあいだにはある種の量的な違いがあるだけかもしれないのです。 しかし、こうした性格や精神疾患に関わる遺伝子がどのように進化してきたのかについて