「だって、勝ちたかったんです!」 太一(たいち)くんはうつむいて、手を硬く握りしめて、絞り出すように言いました。 「私は太一くんの親じゃあないから、お説教なんてしないよ」 恵那(えな)博士は、なるべく深刻な雰囲気にならないように言いました。 「できれば、ウソなんかつかない方がいいし、勝負のルールも破らない方がいい。だけど、あえて聞きたいのは、仮に私を騙し通せたとして、太一くんが得たモノってのは、何だい?」 「すみません。僕が悪かったです」 博士の目が、少しだけ厳しくなりました。 「謝って、思考停止をするんじゃあない。太一くん、これも学びだよ」 「どういうことですか?」 「今回の1円パチンコ勝負で賞品や賞金とかはつけてなかったね。つまり、ウソをついて勝っても、得るものなんて、そもそもなかったわけだ。そして、ウソがバレたとしたら、失うモノは信用だよ」 「博士が、僕のことを信じてくれなくなるって
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