1 『〈著者〉の出版史』奥付 2009(平成 21)年刊 千代田図書館蔵 本の最後に付されている「奥付」には、発行年月日、著者名、発行者名、発行者の住所、印刷 製本所名などが列記されています。江戸時代の和本に発祥し、明治 26 年からは出版法によって 記載が義務付けられていた奥付。その目的は時代によって異なりますが、いずれも出版にまつわる 法律や本に関わる人びとの権利と深く関わって いました。 出版検閲との関係や、版権や印税の契約など 奥付から読み取ることができる情報について、時代 を追って解説します。 はじまりは享保の御触書 江戸時代 著者名や発行年などについて書物の巻頭や巻末に記載することは、日本では古くからみられ ます。慣習として書物に記載されてきた著者名や版元名を、法令として記載するよう定めたのは、 享保 7 年に南町奉行・大岡越前守忠相が発した御触書が最初でした。この御触書では