【ワシントン=柿内公輔】財政破綻した米中西部ミシガン州デトロイト市で、デトロイト美術館(DIA)が誇る全米屈指の所蔵品の売却話が持ち上がっている。ゴッホなど貴重な名画を処分すれば市の再建に役立つというわけだが、「自動車と並ぶデトロイトの『魂』を売り渡すな」と反発も出ている。 1885年に創設されたDIAは、古代エジプト美術から現代美術まで6万5千点以上のコレクションを抱え、全米6位の規模を誇る。有名なゴッホの「麦わら帽子の自画像」やルノワールなど印象派の名画の数々、中東やアジアなど世界各地の美術品が、市民や観光客のほか目の肥えた美術ファンを楽しませている。 所蔵品の売却話が表面化したのは、デトロイト市が財政破綻にまだ陥る前の5月ごろ。同市の財政再建を指揮する緊急事態財政管理者のケビン・オア氏がDIAに所蔵品目録の提出を求めていたことが判明した。コレクション全体での評価額は25億ドルとの観測