昨年6月にスタートしました「京の和菓子探訪」も、早いもので1年がめぐり、第12回となる5月を向かえました。 5月といえば、5月5日の端午の節供の話題を素通りすることはできません。まずは、その起源をたどってみましょう。 古代中国では、5月(旧暦)を最も邪悪な月とする考えがありました。この月には夏至もあり、陽の気が強すぎて陰陽の均衡を崩し、また疫病なども顕著になる季節。そこで、端午ーすなわち5月の最初にめぐってくる火の五行「午」の日、これら凶事を阻止するためのさまざまな行事が行われました。後に5月5日に固定されたこの端午節には、菖蒲やヨモギといった薬草を軒にかけ、また蘭湯(らんとう)と呼ばれる蘭の葉を入れて沸かした風炉を使い、また粽を食しました。 粽の起源は、楚の国王の側近であった屈原にあると言われています。屈原は、楚の隣国秦に対する政策をめぐって失脚し、長江右岸の支流、汨羅江(べきらこう)河