12年前の2004年に刊行された、アメリカ建国時代に活躍した政治家アレクサンダー・ハミルトンの伝記が、再びベストセラーになっている。 再流行のきっかけは、ブロードウェイのミュージカル『Hamilton』だ。もともとはオフ・ブロードウェイで小さくスタートしたのだが、またたく間に人気になり、ミュージカルアルバム部門でグラミー賞を受賞した今ではチケット入手が難しくなっている。 「建国時代の政治家の人生」と「ミュージカル」という組み合わせも意外だが、ハミルトン役のリン=マヌエル・ミランダ(Lin- Manuel Miranda)をはじめ主要なキャストがラテン系やアフリカ系アメリカ人で、音楽はジャズやラップというのも型破りだ。 ニューヨーク生まれのミランダの両親は、アメリカの自治連邦区であるプエルトリコの出身だ。カリブ海にあるこの島は、「アメリカであってアメリカではない」という立場にある。ミランダが