『変態村』(自分の感想はこちら)のファブリス・ドゥ・ヴェルツによる新作。とは言えど、『変態村』(強調しておくが原題は『Calvaire』である)で見せた文脈・文学性は本作ではさほど強調はされず、流して観ただけでは序盤のヘボい導入部分やクライマックスの猟奇描写の印象のみで語られてしまう危険性を孕んでいる作品であるとは思う。だが、静かに侵食してくる迫真の狂気や、謎を謎のまま放り投げて解釈を観る者に委ねるヴェルツの作品性は一貫して本作にも見られ、観終えた後の、無駄に考え込んでしまう余韻は『変態村』と同様のものだ。なお、原題は『Vinyan』である。「怒れる魂」という意味らしい。 こういった画ヅラに「おおっ!」と思われるかも知れないが、こんな画ヅラが出始めるのはラスト20分だけだ! 残念! 津波で我が子ジョシュアを失ってしまった妻と夫。子供捜しにも疲れ果て、じわじわと心が壊れてきたある日の事、こ