出版間もなく著者から送ってもらっていたのだが、ようやく読了。著者の主張は、ある意味では単純明快で、「格差社会の"主成分"は学歴だ」というもの。つまり、日本では職業に関連して定義される階級・階層よりも、大卒と高卒に二分された学歴の方が重要で、これが格差の基盤になっているというのである。 理解できなくはない。とくに最近は、自営業の比重が減少したこと、零細企業の起業が難しくなっていること、高卒の正規雇用が縮小したことなどから、学歴差は大きくなりつつある。日本の社会が大卒者と高卒者という二つに大きく分断されているというのは、ひとつの見方としては正しい。 しかし問題は、学歴そのものが経済的な格差を生み出しているのではないということである。大卒だというただそれだけで、お金をくれる企業はない。大卒であることが何かの職業や地位に就くことを可能にして、ここから高卒との格差が生まれるのだから、重要なのは学歴間
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