第一回目「電車に乗っておじさんを描く」 その2 ──なるほど。先ほど、一人目を描いたときにデッサンが取れてないと仰っていましたが、それはどういうことでしょうか? 寺田 デッサンするときは、グリッドを使うとカタチを取りやすいんですよ。グリッドはデッサンとかをかじってる人には、当たり前の話なんですけど、この連載は絵を描いてない人向けという態でやってるので、僭越ながら説明させていただきますと、グリッドで座標を出すわけです。顔の場合は、顔のGPSみたいなもんです。 デッサン用のグリッドは画材屋で売ってるんですけど、普段持ってるもんじゃないので、脳内に持つワケです。で、仮想グリッドを通しておっさんを観る。なんかかっこいいぜ! そんなことないですか。そうですか。 座標がわかると、モノの位置がわかりますよね。位置はモノの「関係」をも示すモノだから、立体を描くときに大事な関係性が浮かび上がる。その関係性を