こうして石井監督が懸命にチームを作り上げていく中、それでも、なかなか安定した結果を残すことが出来なかった。以前は甲子園を目指しながらも「一生懸命やっているだけだった」という。 それが、ある生徒からの一言で目の前が開いた。 毎年、3月末に行われる入学者説明会の後、野球部への入部希望者だけを集め、入部説明会を行っている。一通りの説明をした後、一人の新入部員がこんな質問してきた。 『どうやったら甲子園に行けますか?』 「ハッとしました。聞かれて、私、『わかんねぇ』って言ったんですよ。行ったことねぇからわかんねぇって。ただ、目つむって頑張っているようなもんだったなと思って。 そこから、甲子園とはなんぞや?というのを本気で考えるきっかけにはなったと思うんです」。 それからは例え少ない人数であっても、本気で甲子園を目指して工夫した練習を考えるようになったという。 「長座布団じゃないでしょうか」。 工夫