中国の人気漫画家、佟遥は、原稿を日本人の編集者に手渡した。その手は震えていた。 なにしろ、ここは漫画ファンの聖地である東京の集英社。集英社はあの有名な『NARUTO』や『スラムダンク』を掲載していた漫画雑誌「少年ジャンプ」を出版している会社だ。そして佟の原稿をいま読んでいるのは、その少年ジャンプの編集者である。 佟自身、子供のころから『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』を愛読して育った。少年ジャンプは、彼にとって長年の憧れの地だった。 結論から言えば、彼の作品は採用されなかった。絵が一般的な日本の漫画に比べて粗く、背景の描き込みも甘いというのだ。日本の漫画から学んできた佟であるが、中国の漫画との相違点は大きいようである。 とはいえ、編集者は佟が1週間に20ページも原稿を書くことや、彼の漫画『王牌御史』に対するネット上のアクセスが数ヵ月で1億を超えていることに驚いていた。だが、日本人の編集