だいぶ固い話題が続いたので,気分を変えて.3年ちょっと前に経験した奇妙な出来事についての報告を書くことにする.簡単にいうと,ある日突然海馬が故障して記憶にまったく書きこみができなくなり,数時間で治った.という話である.途中から科学者魂というか,何としてでも画像を手に入れてやる,みたいなモードになるのだが,さてその結果はどうなったか.症状のほうはそのまま回復して,その後再発もしていないので,心配せずに読んでいただきたい.あと,文中にも出てくるが,筆者は医療関係者でも脳の専門家でもないので念のため. 「これで5回目だと思う」 その日は10月の土曜日で,午後は自宅で科研費の書類を作っていた.それにも飽きて,いつものようにバスで最寄り駅まで行き,ジムに入った.着替えて,軽い筋トレをはじめたが,途中からなにか考えがうまく回らなくなって,ジムの中でうろうろしていたような気がする. そのあとしばらくたっ
「精神病を"会話"で診断するなんてもう古い!」 83,000個の脳をスキャンしてわかった、精神病の正体 The most important lesson from 83,000 brain scans: Daniel Amen at TEDxOrangeCoast #1/2 精神病の診断のほとんどは精神科医が患者と話すことで診断していますが、それだけでは不十分だとダニエル・アーメン博士は語ります。93か国、8万3000人もの脳をスキャンしてきた彼は、トラウマによって脳に損傷が起きることを発見します。アルツハイマー、認知症、てんかん、ADHDの脳の状態もスペクトイメージングによって確認することができます。博士の研究によって、従来の精神科では一括りにされてきた「うつ病」も、患者達によって脳内の実態は様々であることがわかってきました。「心の病」に脳からアプローチする、新たな治療法の可能性を語り
採点:★★★☆☆ 最近めっきり運動しなくなった人におススメ。加速する肥満(書評はこちら)と併せて読むと尚よし 運動といえるのはせいぜい通勤中に駅まで歩くだけ。という人も多いのではないか。 狩猟採集から農耕へと我々の食料獲得方法は大きく変わったが、ここまで身体を動かさなくても生きていけるようになったのは、日本では、ここ30年程度に過ぎないだろう。つまり、我々がこの環境に向き合う第一世代であり、我々の遺伝子はこの環境へは最適化されていないのだ。本書は如何に運動が人間の機能について重要かを様々なデータで明らかにしていく。 そもそも何故運動しなければならないのか? それは、我々の祖先は常に運動しなければならなかったからだ。狩猟採集の時代には、筋力に優れた人間の方がより多くの遺伝子を残すことが可能であったことは想像に難くない。 では、何故運動が脳を鍛えることになるのか? 結論はシンプル。運動によって
5月31 恐怖のアルコール その1 (酢を昼間から飲んでいた酒豪のクラスメートの謎がようやく解けた) カテゴリ:アルコール認知症 大学時代に酒豪のクラスメートがいたが、彼はよく酢を飲んでいた。彼の机には酢の瓶がいつも置いてあり、コップについではガブガブと飲んでいた。彼が言うには、酢がすごくうまいのだという。しかも酢を飲むと集中力が高まり勉強がはかどるのだという(そんなことあるかいな)。 しかし、この謎が30年以上も経ってようやく解けたのであった。アルコールを飲み続けると、脳の神経細胞はアルコールの代謝産物である酢酸ばかりをエネルギー源として利用するように変化してしまうという論文が出たのである。彼は、ブトウ糖よりも酢酸を好んで消費するようになった脳の命令に従って、昼間から脳のエネルギー源として酢を好んで飲んでいたのだ。今、ようやくクラスメートの謎が解けたのであった。 ヘビードリンカーの脳は酢
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