あなたは旅の予定を変更し、ある地方都市の端にあるインターチェンジで高速道路を降りる。 この街には、古くて耐震性に不安のあった旧図書館を建て直し、新しくできた図書館が数年前に開館していた。 あなたが世話になった、あの初老の司書が移った図書館だ。 開館時間の長い現代の図書館は、シフト制で運営される事が多い。 あなたは、あの司書に連絡を取らなかった。 日程が空けられるのは今日だけだった。たまたま彼の非番の日にあたるかもしれないが、事前に知らせて、彼に都合に合わせもらうといったことは、なんとなくだが、したくなかった。 それに彼が休みでも、開館日ならば、彼がつくった棚を見ることができるだろう。 旧図書館から引き継ぐ本は多いし、公立図書館なら、配列法はどこでも日本分類コード順だ。それでも、彼が選書に関わり、配列に関わった棚からは、何か物静かだが雄弁に語っているようなところがある。 「個性」などと言えば
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