大正から昭和にかけて、女学生の間の連絡の手段として手紙はもっともありふれて、そして重要な手段であった。女学生たちは少しでも愛らしい手紙を書くために、高畠華宵や竹久夢二の便箋や封筒をこぞって買い求め、センスのある手紙を書くための文例集も発売されていた。らんぷの本から出ている「女學生手帖」には当時の文例集からその内容が紹介されている。当時の女学生たちはこのようなお手紙例文集を手本にしながら、様々な想いを手紙に託していたのだろう。「思い切って」 お姉さま! あたしのお姉様!? お許し下さい。 せめて心の中でのみこうお呼びしますことを。ほんとうにこの頃のあたしはどうしたのでしょう。お室に居るときは尚更、学校に行って居る時だった、ただの一分間もお姉様が忘れられないのです。 あたしは幸福です。お姉様とお机を並べる事が出来たのですもの。でも同じその一つの事がたとえられない悲しみとなって居ますの。