東日本大震災で大きな被害を受けた宮城、岩手、福島3県の沿岸部では、地震発生から1カ月が過ぎた今も、診療の中止や診療時間短縮などの診療制限を余儀なくされている医療機関が少なくない。3県沿岸部の病院のうち約2割が休診したままだ。壊滅した地域の医療体制をどう立て直すのか、課題は山積している。【福永方人、樋岡徹也、堀智行】 ◇薬求め1日500~600人 処方箋を手にしたお年寄りらでごった返す待合ホール。避難所から来た被災者も多い。岩手県大船渡市の県立大船渡病院には、1日500~600人が薬を求めて訪れる。 市内の自宅が全壊し、約10キロ離れた避難所から同病院に通っている無職の男性(64)は「高血圧や緑内障の薬をもらいに行っている。津波でやられた病院や薬局が多く、遠くても混んでいても、開いている病院に行くしかない」と話す。 同市と陸前高田市、住田町からなる「気仙医療圏」では、入院患者が多数死亡した県