ブックマーク / nobuogohara.com (26)

  • 新日本監査行政処分から見えてくる「東芝会計不正の深い闇」

    東芝の会計不正で会計監査人としての責任が問題にされていた新日有限責任監査法人(以下、「新日」)に対して、金融庁は、12月22日に、公認会計士法に基づき、21億円の課徴金納付命令・3カ月間の新規契約受注業務の停止・業務改善命令という行政処分を行った。また、東芝の監査を担当してきた7人の公認会計士に対しても、それぞれ6カ月から1カ月の業務停止処分が出された。 当ブログ【トップの無為無策で窮地に追い込まれた新日監査法人】で指摘した同法人のトップである英理事長も、来年1月末で引責辞任することになった。 しかし、東芝不正会計問題と、それに関する監査法人の責任問題が、今回の行政処分で決着すると考えるのは大きな間違いである。 今回の行政処分で明らかにされた事実から、東芝と新日をめぐる「深い闇」が見えてくる。その「闇」を明らかにしない限り、今回の会計不正問題は終わらない。 注目すべきは、金融庁が行

    新日本監査行政処分から見えてくる「東芝会計不正の深い闇」
  • 東芝決算発表再延期、記者会見での室町社長の「責任」発言に唖然 

    今年6月末の提出が2か月延期され、8月末に予定されていた東芝の有価証券報告書の提出が、その期限の日の夕刻になって、9月7日まで、さらに7日間延期されることが発表された。 東芝のような大規模上場企業が、決算発表を延期すること自体が異例だが、それに加えて、再度の決算発表の延期というのは、全く前代未聞だ。 提出期限ぎりぎりでの延期の発表をした室町正志会長兼社長が、午後8時から記者会見を開き、そこで、9月7日の再延長期限を守ることはできるのかと質問され、「できないとは想定していませんが、万が一、そういう事態になれば、重い責任をとります」「極端にいうと、進退問題を含めて考えなければいけない」と述べたとのことだが、再度の決算発表延期という前代未聞の事態を受けて会見を開いた社長の言葉とは思えない。 「再度の決算発表延期」自体が、来、絶対にあってはならないこと、許されないことであり、社長の「責任」は、そ

    東芝決算発表再延期、記者会見での室町社長の「責任」発言に唖然 
  • 美濃加茂市長事件結審、揺るがぬ潔白への確信

    藤井浩人美濃加茂市長が市議時代の30万円の収賄の罪で逮捕されてちょうど半年に当たる12月24日、同事件の第9回公判期日が開かれ、弁護人の弁論と被告人最終陳述が行われて結審した。判決言い渡しは3月5日午後2時。 5日前に行われた検察官の論告は、この事件での検察の捜査・公判の杜撰さを象徴する内容そのものだった。その論告を受けて行った11万8000字に及ぶ弁論の中で、私が無罪を確信する理由は書き尽くせたと思う(郷原総合コンプライアンス法律事務所HPに項目ごとに分割して掲載中)。 通常、否認事件の弁論は、検察官立証の柱とされている供述について、まず、その内容に関する問題を指摘し、その上で、供述経過、供述動機等の供述の信用性に関する指摘をするというのが一般的であろう。 しかし、件の弁論の記述の順序は、それとは異なる。 弁論の「はじめに」の後半で触れているように、件の最大の争点であり、実質的に唯一

    美濃加茂市長事件結審、揺るがぬ潔白への確信
  • 証人尋問で「詐欺師」の本性をあらわにした贈賄供述者

    10月1日、2日の両日、名古屋地裁で、藤井美濃加茂市長事件の贈賄供述者中林正善の証人尋問が行われた。 この2日間の尋問で、中林の「詐欺師」たる性が露わになったと言ってよいであろう。 1日目は、検察官の主尋問。 分厚い質問原稿をほとんど「棒読み」して質問する検察官と、よどみなく答える中林、まるで、芝居の「台詞合せ」のようだった。内容は、ほとんど、検察官調書と同じ。中林は、調書を丸暗記していたとしか思えない。 しかし、そのような「作り上げられた中林供述」ですら、その内容は、市議会議員への受託収賄の贈賄供述、市長への事前収賄の贈賄供述の体をなしていない。 そして、中林が、その「詐欺師」の領を発揮したのが、1日目の主尋問の最後の場面であった。 検察官に、融資詐欺で勾留中に贈賄の自白を始めた理由について尋ねられ、 担当刑事から、やってしまったことは消せないけど、ゼロになって帰ろうと言われたので、

    証人尋問で「詐欺師」の本性をあらわにした贈賄供述者
  • 藤井美濃加茂市長ようやく保釈、完全無罪に向け怒涛の反撃

    8月23日午後10時過ぎ、藤井美濃加茂市長の保釈請求の却下決定に対する準抗告が認められ、保釈許可決定が出た旨の連絡が入った。藤井市長の身柄拘束に対する弁護団の請求・申立てに対して、初めて裁判所の良識が示されたことがわかった瞬間だった。 6月24日の逮捕以来、①勾留に対する準抗告、②勾留延長に対する準抗告、③勾留取消請求、④その決定に対する準抗告、⑤同棄却決定に対する最高裁の特別抗告、⑥第1次保釈請求、⑦第2次保釈請求、⑧その却下決定に対する準抗告、⑨第3次保釈請求、⑩第4次保釈請求と10回にわたる弁護人の身柄釈放を求めるアクションは、ことごとく却下・棄却されてきた。 その中でも、弁護人にとって、特に許し難かったのは、今回の第4次保釈請求を却下した裁判官の決定であった。 刑事訴訟法により、勾留、保釈等の身柄の措置に関する決定は、一人の裁判官が行うが、それに対する不服申立てとしての準抗告が行わ

    藤井美濃加茂市長ようやく保釈、完全無罪に向け怒涛の反撃
  • PC遠隔操作事件を「人質司法」の追い風にしてはならない

    PC遠隔操作事件で、昨年2月の逮捕以来、一貫して犯行を全面否認してきた片山祐輔被告人(以下、「片山被告」)が、別人の真犯人を装うメールを自作自演していたことが明らかになり、弁護人に、起訴事実すべてについて自らの犯行であることを認め、保釈が取消となって、片山被告は収監された。 そして、5月22日の公判で、片山被告は、「全部事実です」と一転して起訴内容を認め、「申し訳ありませんでした」と謝罪した。 一年余りにわたって、捜査、公判での警察・検察側と弁護側との全面対決が大きな注目を集めてきた今回の事件は、これで全面解決に向かうことになるであろう。 この事件をめぐっては、警察、検察及び裁判所の捜査、公判での対応に関して、様々な問題が指摘されてきた。 私は、片山被告が逮捕された後に、【PC遠隔操作事件:反省なき「有罪視報道」の構図】と題して、捜査側の情報のみを一方的に垂れ流すマスコミの「有罪視報道」の

    PC遠隔操作事件を「人質司法」の追い風にしてはならない