「精神的に弱い」かどうかは、必ずしも人で決まるものではなくて、同じ人の中でも移り変わる。 彼とは大学のサークルで出会い、特別に仲良くなるというわけでもなく普通に友達になった。 自分には、ここまでは同じ友人がいた。彼は、とても優秀な人だった。自分も彼も工学部だったのだが、彼は大学1年の時から、何を研究したいか具体的に決めていた。サークルの仕事も精力的にこなしていた。工学部の人間は多くが4年の夏に大学院入試を受けるが、彼は学科トップクラスの成績を取って大学院に合格した。私は彼とは全く違う分野だったが、傍目からみても、彼は将来その分野を担う人材になるはずだった。 自分も大学1年の時から何を研究したいかは決まっていて、それは揺るがなかったのだが、勉強しなかった。直接関係のない基礎科目は勉強する気にならなかったが、いざ自分のやりたい分野の専門書を先取りして読んでも、基礎力がないので理解できなかった。