和歌山県警科学捜査研究所(和歌山市)の男性研究員が、証拠品の鑑定を行わないまま、繰り返し鑑定結果を捏造(ねつぞう)していたとの疑惑が浮上し、県警が内部調査に乗り出したことがわかった。 こうした鑑定結果が刑事裁判で証拠採用された可能性もあり、県警は、証拠隠滅容疑などでの立件も視野に、研究員から事情を聞いている。 捜査関係者によると、この研究員は化学部門を担当。麻薬やひき逃げ事故現場に残された車の塗膜片などの鑑定作業に従事しているが、以前行った同種の証拠品の鑑定書を流用し、件名などを書き換えるなどの方法で複数回、鑑定書をでっち上げた疑いが持たれている。 刑事裁判で証拠採用された鑑定結果が虚偽とわかった場合、再審につながりかねないことから、県警は、刑事部内の捜査員を投入するなどして、研究員がこれまで関与した鑑定の内容に不審点がないか、調査を進めている。同研究所には約15人の職員が所属している。