横綱日馬富士が貴ノ岩を殴りつけたとされる暴行事件は、本当にそんなに悪質な大事件なのでしょうか。必要以上にマスコミが振り回されてはいないでしょうか。一人の大相撲ファンとして報道される内容を見ていると、むしろ加害者である日馬富士の方が気の毒になり、貴乃花親方の方が小憎らしく思えてくる、不思議な感情にとらわれてしまいました。 もちろん張り手一発でも、土俵の外で行われれば、暴力は暴力です。許されて良いという道理はありません。ましてや日本の国技である大相撲の頂点に君臨する、神聖なる横綱ともあろうものが、暴行事件を起こして警察に取り調べられるなどとは、情けない限りであります。しかし今回はそのような正論はワイドショーに任せて、私は一連の騒動の本質に迫ろうと思います。 私は十数年前、奇しくも同じ九州場所の真最中に、横綱武蔵丸を密着取材したことがあります。苦労して日本相撲協会からもらった取材許可書には、但し