『空のチューブ』 今朝の通勤の道は、遠回りして、公園を通った。 空は洗われたように晴れていて、木々も気持ちよさそうだったから。 葉を落として、脱皮をしたような枝がわずかに揺れている。 足音に時折、枯れ葉の砕ける音が混じり、心地よい。 ふと、足に何か踏んづけた感触。 見ると、それは、水色の絵の具のチューブ。 つぶされたチューブからは、水色がありったけ飛び出していた。 画家の落し物か? 写生の授業でもあったのか? ああ、落とし主は、探しに来るだろうか? 靴は汚れてはいないなと、確認する。 汚れてはいない。 地面に広がった水色は、空の一部が落ちてきたみたい。 くにゃっと、ひしゃげたチューブを見ていたら、なんだか小さな罪悪感。 しゃがんで、チューブを拾う。 しゃがんだ私は、まるでその地面の空を覗き込んでいるように見えたのではないだろうか。 こぼれた絵の具に指を筆代わりにして、その空の破片の隣に書い