袴田事件をめぐる最近の動きをご存知だろうか? 1966年、静岡県の味噌会社専務一家4人を殺害、放火した犯人として、死刑が確定している元プロボクサー袴田巌さんが、再審を求めて特別抗告しているケースだ。 日弁連の弁護団が冤罪を主張をするなかで、事件から40年以上たった昨年末、死刑の一審判決を書いた元裁判官が「本当は無罪の心証を持っていた」と告白した。元裁判官の名は熊本典道さん(70)。 裁判官が合議内容を明かすのは違法。ところが、その禁を破ってメディアやブログで証言を繰り返し、袴田死刑囚の無罪を訴え続けている。 11月6日、日本外国特派員協会で講演した熊本さんは冒頭、「こんなことまでしなくては彼を救えないのかということに強い憤りを感じる」と述べたうえで、意に反して死刑判決を書き上げた背景を語り、自白至上主義の日本の刑事裁判の問題点を指摘した。 熊本さんが静岡地裁で袴田事件を担当した当時