渋谷区の条例案を皮切りに、現代日本では同性婚に関する議論が高まりつつある。しかし「渋谷区」「同性婚」の文字だけが象徴的に踊るばかりの議論には、筆者は意味を見出せない。 なぜならこのことは、現代日本の社会制度がどうあるべきかという視点で、ひとりひとりが当事者意識を持って議論すべきことだからである。決して渋谷だけのことにも、同性愛者だけのことにもせず。その議論の始発点となるべく、本稿ではある実例を紹介したい。 一度は結婚していたのに、法律のせいで離婚せざるをえなかった…… どこの国の話かと思うかもしれないが、他ならぬ現代日本での話なのである。 ご自身を「レズビアンで元男子」というラキさん(ハンドルネーム/29歳)は、2014年七夕、いくらさん(ハンドルネーム/30歳)との婚姻届を提出した。戸籍上男性、性自認は女性というラキさん。女性であるいくらさんとの結婚は、戸籍上で異性婚、事実上は同性婚とな
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