「10年て、考えてみると長いですよね。ひとつの流行り廃りがガラリと変わるほどの時間というか」。そう懐かしむように笑い、語り始めたのはバーチャル・シンガー「初音ミク」の開発を手掛けた“生みの親”、クリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之社長(52)。 【写真】その他の写真を見る きょう8月31日、初音ミクは2007年の発売からちょうど10年を迎えた。午前0時の段階ですでに膨大な量の10周年お祝いコメントやイラストがSNSを駆け巡り、その様は圧巻の一言。音楽制作ソフト「VOCALOID(ボカロ)」として世に出た初音ミクの10年はおそらく、そんな無数のネットユーザーが“彼女”に「歌い人」としての人格を授けようと向き合ってきた時間だ。その日々をともに駆け抜けた伊藤氏に、改めて今の心境を語ってもらった。 ■ネットに見出されたボカロの“価値” まず確認しておきたいのは、初音ミクの登場した07年が、