RIETI Discussion Paper Series 08-J-019 RIETI Discussion Paper Series 08-J-019 長時間労働の経済分析* 大阪大学社会経済研究所 大竹文雄† 大阪大学大学院/日本学術振興会 奥平寛子‡ 【要約】 本稿では、 長時間労働を規制することの経済学的根拠について整理を行い、 行動経済学的視点か らアンケート調査を用いた実証分析を行った。 分析の結果、 前年と比較して健康状態が改善する と週 60 時間以上の長時間労働を行う確率は有意に増加するが、健康状態が悪化したからといっ て長時間労働を行う確率は減少しないことが示された。また、男性管理職では、もともと仕事を 先延ばしする特性を持つ場合、 週 60 時間以上の長時間労働を行う確率が有意に高くなる。 一方、 女性労働者や管理職以外の男性労働者では、 先延ばし行動が長時間労働を