→紀伊國屋ウェブストアで購入 「ディキンソンの性格」 筆者は、ディキンソンという詩人は昔からどうも苦手だった。頑固でマイペースなのはいいとして(詩人なんてだいたいそうだ)、言いたいことがあるわりにいつまでも口をつぐんでいて、こっちが「どうかなさいましたか?」と言うのを待ってるようなところがどうも面倒くさいのである。もっと、どんどんいきましょうよ、歌いましょうよ、食べましょうよ、と言いたくなる。 でも、授業でアメリカ詩をやるとなると、やっぱりとりあげないわけにはいかない人だ。仕方ないから、いかにもこの詩人らしいなるべく陰気な作品を2、3選んで(自分で自分の葬式の場面を想像しながら実況中継するとか、「後悔」とは何かについてじくじく考えるといった詩)、なるべく足早に通りすぎるのである。 ところが、学生さんの間でディキンソンは意外に人気なのである。ホイットマンよりよほど好まれている。短いからいいの